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「チョコ」と呼びかけた
けれど・・・二度と動くことはなかった。
チョコは、しっぽのついた天使となってしまっていた。
涙が溢れて止まらない。
チョコの横で父がまるで抜け殻のように呆然と座っている。
見るのも辛いくらいに「チョコ、ごめんよ・・・ごめんよ・・・」
と言いながら涙を流している。
チョコをそっと抱きかかえてやる。
すでにチョコの身体は硬直していた。
でも、ふさふさの毛のせいだろうか、
父がチョコに掛けておいてくれたコートのせいだろうか
まだどことなく温かいような気がする。
まだ、目がキラキラと輝いている。
チョコを子供を包むようにしてずっと抱きかかえてやった。
チョコの口を水でそっと濡らしてやる。
チョコを抱きかかえて頬ずりをしてやる。
ずっと抱っこしていた。
Aちゃんが、「ママに会えて嬉しいって笑ってるみたいよ・・・」と言った。
なんと、チョコの顔がにっこりと笑顔の顔になっている。
本当に嬉しそうににっこりとした顔になっている。
不思議だ・・・・
チョコのベットの前には、すでにお線香とろうそくと
お水と餌とお菓子とお花が供えられていた。
父がわざわざ買ってきて用意してくれたらしい。
横を見るとお客さんが母の横に座っていた。
その人は、なんと偶然にお坊さんだった。
母のいとこで偶然立ち寄ったらしい。
その人が、車から2枚のタオルを持ってきて
「1枚はチョコちゃんの下に敷いて、もう1枚は上に掛けてあげなさい・・・」
と私に手渡してくれた。
なんとそれは弘法大師の絵のついたタオルだった。
その日、偶然に持っていたらしい・・・
そして
そのお坊さんが、「私が、チョコちゃんのお通夜をしてあげましょう・・・」
とそれから手際よく準備をはじめた。
チョコのためにお経を詠み上げてくれた。
そして、みんなで順番にお線香を供えた。
父が、「よかった・・・少し安心した・・・」と言った。
この場所に偶然、お坊さんがいるなんて・・
こんなに不思議な偶然ってあるのだろうか?
「きっとチョコが呼び寄せたんだね・・・」と父が言った
お坊さんが、明日葬る時に唱えてあげなさいと、動物のお経を教えてくれた。
夜10時過ぎチョコを抱いてAちゃんといっしょに実家を出た。
途中、二番町の花屋でカサブランカの花を買った。
チョコと最後の夜、チョコの周りをせめて花でいっぱいにしてやりたかった。
チョコを抱いて「チョコちゃんのおうちだよ・・・」って
マンションの玄関を開けた。
部屋中にチョコの物やおもちゃがいっぱいある。
今朝、遊んだままのぬいぐるみもあちこちにある。
それを見ただけで、また、涙が出て止まらない。
Aちゃんとリビングにチョコの祭壇を作りチョコの周りを花で飾った。
しばらくすると、チョコが小さい頃からずっと会社でも可愛がってくれた
Hちゃん・Kちゃん・O君が来てくれた。
みんなも突然のチョコの死に涙してくれた。
チョコは幸せ者だ・・・こうしてみんなが来てくれる。
何より私が嬉しい・・・みんなありがとう。
しばらくみんなでチョコの思い出話をした。
その間も私は、何度もチョコの口を水で濡らしながら撫でてやった。
みんなは、明朝10時に霊園に行ってくれる約束をして帰って行った。
ずっとずっとチョコの面倒をみてくれたAちゃんが、泊まってくれた。
チョコも大好きだったAちゃんが最後までいっしょにいてくれた。
チョコも私も嬉しかった。ありがとう。
私は、明け方の数時間だけだけど
最後にチョコを私のベットに連れて行って
チョコといっしょに寝た。
もう、こうしてチョコといっしょに寝れるのはこれが最後だ。
チョコを抱きかかえて撫でながら最後のお話をずっとした。
朝、10時。チョコを抱いて家を出た。
みんなでペット霊園に向かった。
近くの花屋でカサブランカの花を買い足した。
チョコとの最後のお別れにみんなにもチョコに花を
捧げて欲しかった。
11時。ペット霊園でチョコと本当のお別れ。
チョコのベットにチョコのお気に入りのおもちゃにジャーキーに
そして、ママはこれからもずっといっしょだからね・・・と
チョコを抱っこしている私の写真を入れておいた。
みんなが順番にチョコに最後の花を供えてくれた。
チョコをもう抱くことも撫でることも触れることもできないんだと思うと
たまらなく悲しく苦しくなって涙が止まらない。
目の前で扉が閉まってチョコが見えなくなった。
本当の本当のお別れになった。
私は、チョコが葬られている間、チョコが天国で幸せになれるように
チョコに感謝の気持ちを込めてお経をずっと唱えた。
1時間くらいして、小さいチョコが、
ちっちゃなちっちゃな姿になって出てきた。
みんなが順番にちっちゃくなったチョコを小さな壷に優しく入れてくれた。
私も小さくなったチョコに話しをしながら入れた。
そして、チョコは今、ペット霊園の祭壇で
寂しがらないように・・・、安心できるように・・・
私の匂いのするハンカチの上で眠っている。
お水といっしょに寂しくないようにぬいぐるみ・ジャーキー・お花もいっしょに。
今、私は、ここにチョコに会いくる。
私にとってチョコに話かけられる心の安らぐ場所なのだ。
今頃、チョコは
天国の虹の楽園
で元気で遊んでいることだろう。
いつの日か私に本当に会える日を待って・・・